日程:2024 年 2 月 10 日・11 日ꢀ晴れ時々粉雪
場所:乗鞍岳・乗鞍スノーリゾート上部標高 2,000m の疎林付近
昨年夏ごろから、イグルー山行の第一人者・イグルスキー米山こと米山悟さんにお願いしていたイグルー講習を、このほど無事実施することができました。
米山さんは北大山岳部イグルー縦走の中心メンバーで、テントでは安全が確保できない北海道の日高雪山縦走をイグルーで達成され、その技術を改良し続けながら伝えておられる方です。
僕が惹かれたのも、このイグルーの実用山岳技術としての位置付けです。
実際にイグルーは、雪洞などと比べても
・雪が少なくても作れる
・斜面でなくても作れる
・排雪作業が非常に少なく効率的
・生き埋めになる心配がほとんど無い
・酸欠になる心配も少ない
など、非常時に限らなくとも多くのメリットを備えています。
米山さんの尽力で、最近は徐々にイグルーの認知度も上がってきていると思いますが、まだまだメジャー技術になっているとまでは言えないのが現状です。
どうせならこの技術の素晴らしさと作る楽しみを他の人にも味わってもらえる機会にしたいと思い、当会の所属する滋賀労山の講習として企画し、米山さんに打診したところ、快く引き受けてくださいました。
当日は滋賀労山から10名、京都労山から2名、大阪労山から2名参加があり、14名+米山講師で講習を行うことになりました。
まずは米山さんが見本を一つ作ってくださり、その後参加者それぞれが自分でも作ってみます。
最初はなかなか屋根が塞がらなかったり崩壊したりするのですが、みなさんだんだんとコツを掴んでいかれたようです。
技術的には、できるだけ軽くて締まった雪から長いブロックを丁寧に切り出し、橋を渡すように開口部を塞いでいくのがポイントです。
イグルーの中は静かで、念入りに隙間を塞げば、気温も氷点より大きく下がらず、安全な居住空間が得られます。
いくつも完成したイグルーが寄り集まって、講習会場はイグルー村のようになりました。
ただ、みんなで集まれるような巨大なスケールの物はできないので、作成後みなさんがそれぞれのイグルーに入ってしまわれるとあまり交流できなかったのが少し残念でした。
翌日も米山さんの助言を受けながらそれぞれイグルー作りに挑戦し、午後は雪山関連技術として簡単な弱層テストとアバランチビーコンの操作を練習して講習を終了しました。
米山さんは、紹介で「イグルーは現場の雪と自分の技で山を渡り歩く自由な登山思想です。雪質を見る目と技を身につけ40分以内で作れれば心強い救助・生存の実用技術です。」と書かれています。
講習に参加された方が、今後イグルーの自由度を生かした山行を企画し、実践してくだされば嬉しく思います。
当日の詳しい様子は以下(山の会オフトレイルブログ)をご覧ください。
https://norabeko.blog.fc2.com/blog-entry-357.html
米山さんご自身による講習のレポート
https://igloosky.com/2024/02/12/norikura-training-shiga-rozan/
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-6453053.html?fbclid=IwAR2jXErybXL87oIY6VJQuxTKqcd20bOqVqhLmjv-vKEVDLTHOotermFmoao